不親切のすすめ

2003年11月6日
 この日、妙な携帯メールが来た。
 Cメール(*)のため、差出人は不明。電話番号が表示されているのみ。
 
(*)●u同士限定のメールのこと。番号だけでやりとりができ、通常のアドレスは不要。
 
 
 そのメール、文面は以下の通り。

「おばさん昨日病院に行って、先生がよく話を聞いてくれて喜んでたってお母さんが言ってたよ。少し安心だね。」
 
 
 ……?
 誰だろう。そして、何のことだろう。
 心当たりが無い。
 
 
「病気のおばなんて、私にいたかなぁ…?」
と、記憶を辿ってみたが、やはり、思い当たるふしは無い。
 親戚の事情に疎くなっている部分があるとはいえ、やはりこれは、私宛の内容ではなさそうだ。
 間違いかな。だったらその旨、同じくCメールか電話でお知らせしようか。気付いていないとしたら、気の毒だし困るかもしれないから…と思ったが。
 
 
 いや、待てよ。
 なんか怪しいぞ。
 
 
 文面には、固有名詞が一切使われていなかった。
 例えば、ただ「おばさん」と書くのではなく、
「○○おばさんが、しばらく前から病気で(または、昨日事故に遭って、など)」
とか、もしくは、
「△△より」
と、差出人が自分の名前を書いてもよさそうなものを。
 
 あるいは、事情を把握していない私に知らせる際には、
「猫またぎちゃんは知らなかっただろうと思うけど、実はね…」
と、何らかの前置きがあってもよさそうなものを。
 
 うーん、考えれば考えるほど、怪しい。
 
 
 もしやこれは、架空の出来事なのだろうか。
 そして、まんまと罠にはまり、親切心から連絡を返してきた人を、いわば、
「お人好し名簿」
に載せるための、ふるいとして利用するのでは?
 そして、リストアップした人を、悪徳商法のカモに…なんてことは?!
 
 
 …とは、邪推なのかもしれないが。
 でも、状況から考えるに、全くあり得ない話ではない。
 
 
 なので、ここはひとつ、不親切に徹することにした。(いや、元々私は、あまり親切心のあるほうではないが。)
 そうだ。重要事項で、相手からの反応が無くて困る場合は、何度も連絡をし直したりするだろう。
 どうしても必要とあらば、そこまでするに違いない…、と判断して。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 で、ここからは、「架空メール」だと仮定して話を進めることにする。場合によっては、失礼な決め付けだが。
 
 
 いやぁ、しかし、この文章の作成者はきっと、色々と知恵を絞ったんだろうな、と思った。
 「おばさん」も、「叔母・伯母さん(親戚)」と「小母さん(近所や知人)」と、どちらともとれるし。
 「病院に行った」も、症状について詳しく記さないのはもちろんのことだが、「具合が悪い」とも書かないのがミソ。病気か事故か、はたまた健康診断の類なのか? と、いかようにも考えられる。
 病院のことを話しているおばさんとお母さん…なんて、いかにもありそうな光景じゃないか。(「おじさんとお父さん」の組み合わせよりも、さらに。)
 で、極め付が、固有名詞抜き、といったところか。
 適用範囲を広げておいて損は無いもんね。
  
(しかもそのメール、文字数は、ぴったり50だし(笑)←確か、Cメールは最大で半角100文字、つまり全角50字のはず。この枠内に収めるのも、苦心しただろうな…。「喜んでた」「言ってた」と、「い」抜きの表現にした理由はそれなのね、なるほど。)
 
 
 まったく、変なことを考える人もいるものである。
 …その労力を、もっと他のところに活用すればいいのに。
 
 
 
 
 
 まぁともかく、そういうわけですので。
 a●の方、類似メールにはご注意を。
 
 
 
 
 
 それにしても…。
 不親切のすすめだなんて、悲しい題だな。自分で付けておきながら言うのも何だが。
 こういうご時世なのかなぁ。…と、何でもその一言で片づけたくはないんだけど…。
 

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