ISBN:4620316180 単行本 佐藤 雅彦 毎日新聞社 2003/03 ¥1,365
内容(本の帯より)
佐藤雅彦が毎日新聞で4年にわたり連載した、大人気の月1(つきいち)コラム、その名も「毎月新聞」。その月々に感じた事を、独特のまなざしと分析で記す佐藤雅彦的世の中考察。ともすると見過ごしがちな日々の不可思議や本質を、ハッと気づかせてくれたりする、面白くも鋭い名文の数々。人気の3コマまんが「ケロパキ」の未発表作品つき。
『「じゃないですか」禁止論』に始まり『日本のスイッチ』に終わる、50号ほどのコラム。
短篇なので、当たり前だが読むのに時間が掛かるわけでもないし(ただ、読後に内容を頭の中でぐにゃぐにゃと捏ねるのもありだから、長く楽しむことも出来る)、どのページから読んでもいい。細切れの時間に適した活字を何か…、という人にもお勧め。
『ブーム断固反対』『文字が出す騒音』『ネーミングの功罪』『かもしれないグッズ』『取り返しがつかない』などなど、興味深い内容が色々と。
しかし、今の私にとって最も印象的で、そして「なるほど、そうだよなぁ」と感じたのは、
『目の前にあるのに』
と題された文章である。
そこから少々引用すると、
「自分が思い込んでいる探索像が目の前に実際見えている知覚像を消す、ということ」
「自分の肉眼で見えていることよりも、求めているイメージの方が勝ってしまう」
ということらしい。
「ちょっと専門的に言うと、『探索像が現実に知覚している像を歪める』ということ」
とも書いてあった。
* * * * * * *
実は、前回の美術館デートの際、私を見つけやすいようにと思って、道中に着ていた服を携帯のカメラで撮って相手に送信したのである。
但し、部分的なもの。布地の柄がわかれば十分だと考えたから。
けれど、待ち合わせ場所にいた私に、彼は初め気付かなかったらしい。
というのも、私は和服姿だったからである。
いやー、空模様が少し怪しかったものの、折角の機会だから。
ちょっとは驚いてもらえればいいかなー、なんて変な意欲(?)を出しちゃってさ。
えぇ、そんなことしてたんですよ私…。
うーむ、メールに記したのは事実のみであって、決して嘘は交えていなかったんだけどなー。
(「今日の服の柄の画像を…」という文面だった。)
誰も、洋服とは書いていませんよーだ。へへーんだ。 ←お前は子供か…
届いた画像を見て彼は、
「変わった柄だなぁ」
と思ったそうな。幾何学模様とはいえ、確かに洋服ではあまり見掛けない模様である。
草花などの具象柄ならば、さすがに不思議がられ、着物だと一発で見抜かれていたかもしれないけれど、今回のは微妙だったからねぇ(笑)。
ま、一瞬の後に、そこにいる人物が私だとわかったみたいだけどね。
この回ばかりは、ワタクシの寛大な心(どこがじゃ)で許してあげよう。
それに、次はちゃんと見つけてもらえたしね♪
(その時は、洋服で行きましたが(笑))
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